「農業従事者は減っているのに、どうして新規就農者に冷たいんだ!?」
「農業はやめとけ、といろんな人に言われる…なぜなんだ!?」
こういった新規就農者の心の声は、SNSなどで見かけます。
本当に新規就農者は必要とされているのか、はたまたそうではないのか。
ということで今回は、
「就農前に知っておくべきこと。実は新規就農者は歓迎されていない!?」
というテーマで、農家の僕ナス男が考察します!
これから就農される方や、農業に興味のある方はぜひ読んでください!
既存の農家に歓迎されていない?
「農家に相談に行ったら、農業はやめとけと言われた…やる気もあるのに!」
という愚痴をけっこう僕も耳にします。
農業はやめとけと言われてきついかもしれませんが、農家になる前と農家になった後を経験した僕は、どちらの気持ちも分かります。
詳しくはこちらの記事で。
農家も誰でもいいから新規就農者を歓迎しているわけではありません。
経験がある農家なら就農希望者の話を聞いただけでその人が見込みがあるかがある程度わかりますし、見込みのなさそうな人には研修や技術を教えるのは時間のムダにも感じることもあるでしょう。(もちろん、農家の見立てがすべて正しいとは思いませんが。)
あとは、「新規就農者は補助金をもらって楽して農業をしようとしている」という先入観がある既存の農家もいます。
親元就農の僕の場合でも、他の農家の所に相談に行った時に、
「どうせ補助金もらってるんだろ?」
と言われました。(僕は親元就農なので、就農時の補助金は受ける資格がないのでもらっていません。)
補助金の是非はここでは置いておいて、栽培技術もない若者が補助金をもらえる対象になるという事実は、やはり現場に軋轢を生んでいるんだと痛感しました。
農業の補助金は当てにするな! | 就農成り上がりブログ (otikoborenouka.com)
この先入観を覆させるには、相談の段階では無理で、やはり農業を頑張って継続して認めさせるしかないでしょう。
農政の方に歓迎されていない?
農政の方にも厳しいことを言われることもあります。
農政の方に言われることとしては、主にはこんなところでしょうか?
- この作物では利益は出ない
- 前例がない
- ○○栽培では難しい
- 補助金ありきの計画では?
4の補助金ありきの計画は厳しく言われて当然かなと思いますが、残りの1と2と3でも、言われても仕方がないことだと思います。
失敗事例を減らすためには情状酌量の余地をなくさないといけないので、相談者のやる気とかでは判断できないのです。
僕は農政の人間ではないので、ここからの話はあくまでの想像ですが…
決して厳しく言って新規就農者を減らしたいわけではなく、本当に見込みがある新規就農者を選びたいのだと思います。
相談の段階で数年で辞めてしまうと感じるような人は対応したくはないでしょうし。
ちなみに僕は農業余裕でしょ!という感じで甘く見ていたので、当たり前ですが厳しく言われました(笑)
地主に歓迎されていない?
空いている農地を持っているけど、農業をしていない地主はけっこういます。
空いたまんまにしておけば草だらけにするくらいならそれなら誰でもいいから耕作をしてもらえばいいのに、それをしないのはやはり理由があります。
いきなり来たよそ者に農地を貸すのは嫌なんです。
親元就農で親の顔が知れているなら信用もあるので農地を借りるのは比較的簡単だと思いますが、
やはりどんな農業をしていつ農業を辞めるかもしれない新規就農者の方に貸すのは抵抗があるのでしょう。
僕の知り合いの地主の方は、
「就農したいというやる気に負けて農地を貸したのに、やっぱり稼げないのでやめますと1年ちょっとで返された!」
「書類まで書いたのに、面倒ったらありゃしない!」
と怒ってました(笑)
この一例だけで全ての就農者を否定するものではもちろんありませんが、離農する方も多いのは事実なので、警戒はして当然だと思います。
それでも農地を借りられなければ何も始まらないので、地域に根付く努力と農業を真剣にやっているという気概を見せるしかないかと思います。
時には地域の役などを受けて顔を覚えてもらい、真剣に農業をしている姿を見せていけば、徐々に信用を得られて農地の話が舞い込んでくるようになるでしょう。
警戒すべき農地の「貸しはがし」
そして新規就農者の方が、警戒しておかなければならないことがあります。
農地の貸しはがしです。
いきなり農地を返せと言われるなんて他の仕事ならあり得ない話ですが、残念ながら農業ではあり得てしまいます。
地主との関係が良好でも、その家族などが契約をひっくり返してしまうこともありますし、
放棄地で草だらけになった畑がきれいになったところで、返してほしいと言われてしまうこともあります…
対策としては、正直ありません…
争うことはメリットが少なく、心が消耗するのでおすすめしません。
悔しいでしょうが、おとなしく返して長く農地を借してもらえる地主を探すしかないでしょう。
特に、借りた農地にハウスや倉庫などの施設を建てる、または果樹など簡単にやめられない作物を定植する可能性がある場合は、
農地を買って所有するのもアリです。
初期コストはかかりますが、いい農地ならば後々の憂いを無くしておくと農業に集中できます。
まとめ
今回は、
「「就農前に知っておくべきこと。実は新規就農者は歓迎されていない!?」
というテーマで書きました。
農業は厳しい産業なのは事実で、就農してからでは簡単には後戻りできません。
ノルマが厳しい企業の圧迫面接だと捉えるくらいでちょうどいいのではないでしょうか?
なにくそと思ってエネルギーに変えるくらいでないと続かないと思いますし、冷静に考え直す機会になるなら損失は少ないです。
何より、農業で結果を出せば皆手のひらを返して認めてくれます(笑)
つまり自分次第!
この記事が今新規就農を考えている方の少しでも参考になれば嬉しいです!
最後まで読んでいただきありがとうございました。