「借金してまで農業をしたくない!」
「絶対に小さな規模で農業を始めた方がいい!」
このような意見を持っている方もいるかと思います。
無借金経営は確かに理想ではありますが、農業の借金=融資は別に悪いことではありません!
融資を受けて農業をしている篤農家の方も、たくさんいます!
ということで今回は、
「農業を始める時に融資を受けるメリット!農業を始める時に、借金するのはあり得ない!?」
というテーマで、農業で融資を受けて農業を始めるメリットと農業の融資についての考えを、農家の私ナス男が解説します!
借金=悪?融資を受けるメリットとは?
「借金はしちゃだめだ!人生終わるぞ!」
そう考えていた時期がオレにもありました。
累計では5000万円に届きそうなくらい融資を受けてナスのハウスを建てた私ですが、
無借金は当たり前!
なんなら数十万の農機への投資もしたくない!
肥料散布機?そんなん若くて体力あるんだから、自分が背負って撒けばいいじゃん!
という感じで、露地野菜農家をしていた頃は今後の経営や規模拡大などはほとんど考えず、
利益や貯金から出せる範囲のものしか買いませんでした。
しかし月日が流れていくにつれて、どこかでリスクを取らないと待っているだけでは売上は増えないという現実を知りました。
前置きが長くなりましたが、融資を受ける一般的なメリットと私が実感していることを以下で紹介します。
融資を受けるメリット①規模や売上の拡大を早くできる
メリットの一つ目は、規模や売上の拡大を早くできることです。
無借金経営でやろうとすれば、規模拡大がなかなか進まず、目標の売上まで届くのが遅くなる可能性があります。
一方で融資を受けて機械設備を整えられれば、その分規模や売上の拡大は見込めます。
初年度からある程度の想定規模や売上目標があるのであれば、融資を受けた方がいいでしょう。
融資を受けるメリット②労力や労働時間を短縮できる
二つ目は、労力や労働時間を短縮できることです。
融資を受けて機械化や雇用をすれば、労力や自分の労働時間を短縮できます。
「無借金で利益の中で農機を買って、徐々に規模拡大して回らなくなったら人を雇って……」
それだと、自分の労働時間や労力を削減するペースは遅いでしょう。
融資は、時間や労力をお金で買うこととほぼ同じです。
農業って何十年も続く勝負で体が資本ですから、お金を使ってでもなるべく楽な環境を目指して損はないはずです。
融資を受けるメリット③精神的なゆとりが生まれる
三つ目は、現金(キャッシュ)の余裕が、精神的なゆとりを生んでくれることです。
特に就農当初は、あれこれ必要なものを揃えていったら、現金は飛ぶようになくなります。
通帳からお金が減り続けていくのを見ながら農作業をするのは、けっこう精神的にきついんですよね……
よくある勘違いとして、借金が多くなったら終わり、ではないんですよね。
いざという時に、キャッシュが回らなくなったらゲームオーバーなんです!
現金を厚くしておくのは、経営的にも精神的にもメリットがあります。
農業経営がピンチの時に考えるべきこと4つ〈キャッシュフローをどう改善するか〉 | 農業生き残りブログ (otikoborenouka.com)
ちなみに、多くの就農希望者が十分な資金を持って就農できているわけではありません。
その場合は、自己資金に加えて融資を受けて就農するケースが多いようです。
詳しくはこちらの記事で。
小さく試すことは大事!だけど……
まずは小さく始めること。これはビジネスの鉄則です。
小さい規模の方が方針転換しやすいですし、失敗した時の損失も最小限で済みますからね。
農業に当てはめれば、まずは家庭菜園や市民農園を借りて野菜を育てるところから始めたり、研修を受けて栽培技術や覚悟を高めたりすることがそれに当たるでしょう。
リスクを低くできるので、家庭菜園や研修は大事だと私も考えています。
じゃあいざ本格的に自分で農業を始める時も、無借金にこだわり最小規模で始めるべきかと言うと……
それは人による!!!
例えば極端な話、最小限の面積や農機農具で始めるのにもリスクがあると考えています。
小さな面積で生活できる利益を出そうとすれば、高単価になる作物や栽培方法はかなり限定されるからです。
高付加価値の作物の無農薬での栽培や6次産業化(加工販売までやる)くらいでしょうか。
最小規模や無借金経営にとらわれ過ぎて、農業経営の可能性の幅を狭めた状態でスタートすることは、難易度が高いと私個人としては考えています。
「わずか数反の畑でも、他とは違う農業で生計を立てられている農家もいるじゃないか!」
「農業1本で稼ごうとするから無理が出るんだ!半農半Xで、農業は小さな規模でやればいいじゃないか!」
という反論も当然あるでしょう。
もちろんそういう農業、生き方も素敵だと思います!
ただしそれらが全ての方の最適解というわけではないですんですよね。
どういう人生を送りたいのか、そのためにはどういう農業でいくら売上を出せばいいのか。
逆算して農業に落とし込まないと、スタート地点を間違えてしまいます。
結局、売上目標や人生観農業観に合った農業スタイルを目指すべきなんですよ。
まとめ:リスクを取らなければ、何も得られない
今回は、
「融資を受けて農業を始めることのメリット。農業を始める時に借金はありえない!?」
というテーマでした。
コロナ禍やウクライナ情勢の悪化で、農業は不安定さを増している昨今。
お金を借りて農業経営を始めることに、不安に感じる気持ちも良く分かります。
だけど融資を受けることがダメなわけではないですし、うまく利用できればメリットは多いです。
繰り返しになりますが、人生観農業観をまずはしっかりと固めて、そこから逆算してどういう農業がしたいのか考えるといいかもしれません。
「No pain, No gain.‼‼」(リスクを取らなければ、何も得られない!!!)
最後までお読みいただきありがとうございました。