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野菜価格は農家が決めるべき?価格決定権を持つべきか。

農業について
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「農家はJAに価格決定権を握られて、好きに価格を決められないから儲からない!」

農業や野菜の価格について、よく散見されるフレーズです。

新規就農者の中にも、これを真に受けて農業を始めようとする方もちらほら……

ということで今回は、

「野菜価格は農家が決めるべき?価格決定権を持つべきか。」

というテーマです。

農業に興味のある方はぜひ読んでください!

農家は価格を決められない?

農家が価格決定権を持つことは、JAや市場だけに出荷せずに複数の販路を持つ、ということとほぼイコールです。

JAや市場は、農家自らが価格をつけることは出来ず、相場による価格変動の影響が大きく受けます。

しかし、JAや市場にに出荷するかどうか、他の販路を持つか、から農家が自ら判断できます。

つまり、農家は全く野菜の価格を決められない、というのは間違いです。

私も今はJA出荷をしていますが、産直や他の業者に出荷していたりしていました。
とくにお咎めはありません。

「ブッブーNGです | フリー素材のぱくたそ」の写真[モデル:高尾実生]

価格決定権がなくても農業はできる

私は、価格決定権がなくても農業で生活するだけの利益を出すことは出来る、と考えています。

つまり、JAや市場出荷のみでも成り立つ、ということです。

私自身弱小農家ながら、JA出荷のみでなんとかなっていますし、周りにはJA出荷のみでガンガン利益を出している農家がけっこういます。

もちろん地域や作物にも依るので、「全国の農家全員がJA出荷だけでいい!」と言うつもりはありません。

JAに出荷すると、野菜の価格は相場に左右されて、儲けが出ないような安さになってしまうことも場合によってはあります。

しかし、JA出荷には多くのメリットがあり、簡単に選択肢から除外するのはもったいないです!

知らないと損をする!農家が教えるJA出荷のメリット | 農業生き残りブログ (otikoborenouka.com)

価格設定は難しい!

「自分の判断で価格を決められれば、価格決定権を持てば、農家も儲かる!」

と思われるかもしれません。

確かに、野菜の価格決定を農家自らがすることで売上は上がる可能性はあります。

しかし、それだけで一気に農家の利益が増えるわけではありません。

例えば、100円のキャベツの横で自分のキャベツを200円で売ろうとします。

この場合よほどの工夫がないかぎり、100円のキャベツの方が先に売れるでしょう。

どこで売るにしてもライバルとの競合があるので、自分の好きな価格で売り切れるケースは少ないでしょうし、結局は価格競争に巻き込まれてしまうことも私は経験しました。

popや栽培などを工夫しないと、「適正価格と自分で思っている野菜」は消費者に手に取ってもらいにくいのです。

そして価格設定に関しては、(想像に難くないですが)色々な要因が絡んでいて、適正な価格設定をすること自体が難しいです。

  • 原価を計算したり、
  • 競合農家の価格も見たり、
  • 相場から算出したり、

色々な視点から考えることができてしまいますので、弱小農家の私が1記事で語れるほど簡単なものではないのです。

「頭を抱える案件ばかりで苦悩する女性社員 | フリー素材のぱくたそ」の写真[モデル:SAKI]

JAに頼らずに、個人販売を主戦場にして、

  • 他とは違う栽培技術
  • POPやSNSを活用

などを駆使して、高い価格で野菜を売り切ってしまう強者農家も当然います!

高い価格設定の分、努力の積み重ねや栽培に時間をかけているのが分かってしまうので、やはり楽して稼げる農業はないなあと感じますね。

価格決定の意識は必要!

価格決定権はなくても農業はできると思っていますが、一方で価格決定の意識は農家は常に持つべきだと考えています。

  • 原価や手数料
  • 他産地の動向
  • 産直やスーパーに並んでいる野菜の価格

などは、JA出荷だけだとしても知っておいて損はないということです。

出し続けて信用や認知を得る努力や、個人出荷の経験など、勉強になることがたくさんありますしね!

マルシェ・青空市場のイラスト

ちょっと話が変わりますが、流行り病や世界情勢の悪化で、経費はどんどん上がって農業経営は苦しくなってきてます。

それをJAのせいだけにして、文句ばかり言って自身の栽培や経営を改善しようとしない人がいますが……

それは違うかなあと個人的には思います。

「JAのせいだけにする前に、まだ工夫できることあるでしょ?」
「価格決定権は自分にあるのだから、自分で販路を見つけたりすれば?」って感じです。

ナス男の価格決定戦略

私は産直や他の業者に出荷している時もありましたが、作物転換や産地の力を考慮して、今はナスをJA出荷100%に落ち着いています。

  • ①一つの出荷先だけでいいので、出荷時間のロスがない
  • ②規格内であれば、生産したナスを全て売り捌ける
  • ③営業や出荷などを全てを任せきることで、栽培に専念できる

などのメリットが多いと捉えて、JAの優位性に納得しています。

私の場合、3月の収穫ピーク時には多い時で一日4000本のナスを収穫します。
そんなに売りさばける出荷先はJAや市場以外にないでしょうし、他の販路への出荷調整をしている暇もないほど収穫に追われる日々です。

詳しくはこちらの記事で。

ただし先にも述べましたが、今の経費高騰や価格の低迷で悩んでいる農家は、私を含めて多いです。

今はまだ栽培技術も雇用管理も未熟なので、JA出荷一本でいいと今は考えていますが、

将来は他の販路を模索することもあり得ますね。

リスク分散や売上アップにもつながりますし、個人販売も可能性はゼロではないです。

まとめ:

今回は、

「野菜価格は農家が決めるべき?価格決定権を持つべきか。」

について書きました。

価格決定権について
  • 農家は価格が決められないというのは、誤認!
  • 価格決定権がなくても、農業は出来る!
  • 価格設定は、とても難しい!
  • ただし、価格の意識は農家全員が必要!
  • ナス男の戦略

これから農業を始める方は、まずは「農家に価格決定権がない!」などの誤解をしてほしくはないです。

JA以外に出荷することも戦略としてもちろん優秀ですが、うまくJAを一部利用することも大事です。

全てが自由、自分次第なのが農業!

この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。