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JAの栽培暦、防除暦を鵜呑みにするのは危険!

農業について
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「栽培や防除なんかも、全部JAの言うとおりにしよう!」

「栽培暦、防除暦を見て、これをマネすればいいんだ!」

この考えは危険です!

今回は

「JAの言うとおりに栽培するのはやめよう」

というテーマで、実際に農家をしている私ナス男が解説します。

取扱説明書のイラスト

新規就農の方、農業に興味のある方はぜひ読んでください!

JA

「まずはJAに出荷して、栽培に専念しよう!」

たしかに悪い戦略ではないですし、新規就農者の方はJAに出荷することを僕もおススメしています。

販路や営業をJAに任せることで、栽培に専念できるからです。

とにかく農家一年目はやることがたくさんありすぎて、肝心の栽培に手が回らなくなることがあります。

土台となる栽培技術の安定が、利益を出し続ける農家になるポイントなのは間違いありません。

お金持ち・成金のイラスト

ちょっと待った!

確かに最初はJAに出荷することがおススメですが、

栽培暦、防除暦までJAのいうとおりにするのはかなり危険です。

栽培暦

JAは営農指導員や栽培暦という栽培マニュアルがあります。

長年の部会に所属している農家さんの蓄積があって、栽培暦はできています。

  • 元肥追肥、
  • 定植時期、
  • 手入れ、

この通りに栽培しても、おそらく失敗はないかと思います。

部会平均にはなるはずです。

ただし新規就農者の場合、部会平均の収量を目指していては経営が成り立たないことが多いです。

融資を受けて設備投資や機械を購入している方がほとんどなので、

すでに必要な設備や機械が揃っている農家さんよりも、多く収量を上げなければ利益は出ません。

トラクターのイラスト

「栽培暦通りに栽培して、栽培はうまくいったんだけど、利益はついてこなかった…」

という事態は避けなければいけません!

高収量で利益を出し続ける栽培の参考にすべきは、研修を受けさせてもらった農家さん、その地域の先進農家さんです。

進んでいる農家さんは経験も知識も失敗談も多いですし、

最新の技術や資材にもアンテナを広く張って取り入れています!

アンテナを張る人のイラスト(男性)

詳しくはこちらの記事で。

先進農家さんは、JAの栽培暦の1歩2歩先を常に進んでいます!

設備や機械投資などの考え方や、経営の共通点もあるので、

一年目は先進農家さんを丸々マネして栽培してもいいと思います!

そして徐々に、自分の経営に合っている栽培に変えていければいいのではないでしょうか。

防除暦

栽培暦と同じく、防除にもマニュアルの役割をしている防除暦があります。

防除暦も長年の農家の声の蓄積や、新しい農薬の組み合わせからできています。

JAの指導員や農業普及課の方などが集まって、その年の防除暦を決めているそうです。

〇月第1週は、殺虫剤は○○、殺菌剤は××

といった具合に、栽培期間内の防除ローテーションも全て決まっています。

農薬の散布のイラスト

これだけ聞くと、なんか信用出来て凄そうですが、

やっぱりこの防除暦も100%信用するのはダメ!

理由は、各畑やハウスで病害虫の発生状況はまるで違うからです!

防除暦通りに防除しても、カバーしきれていない病害虫がいたら、何の解決にもなりません!

例えばコナジラミが湧いているのに、コナジラミに対して全く効かない農薬をかけても無駄ですよね?

高い水をかけているのと一緒になっちゃいます…

そして、注意したいことがもう一つ!

病害虫の発生状況と進行具合によって、作物の登録があっても効かない場合もあります!

例えばスリップスの成虫がたくさん湧いてしまったとき。

「スリップスの幼虫には効くけど、成虫には効かない薬」を使っても効果はありません!

「農薬の作用点」が違ってるからです。

農薬にはそれぞれ、「どの発生状況やステージに効くのか」特徴があります。

その特徴をふまえた上で、農薬を選ぶ必要があります。

メモを取っている男性会社員のイラスト

病害虫の発生状況を観察して、適切な農薬をチョイスする必要があるんです。

防除暦はあくまで目安!参考程度にしなければいけません。

ただし経験の浅い方は、どの農薬が効くか、どういう作用点かなどは経験を積んでいないと分からないことも多いです。

就農して最初のほうは、JAの暦だけではなく、

営農指導員や普及課、先進農家さんの意見を取り入れましょう!

そして特に先進農家さんのアドバイスは参考になりますので、比重を重くしましょう!

適切な農薬のチョイスは、最終的には自分の頭で考えて、決定するしかありません。

戦略・策略のイラスト(女性)

でも防除の度に意見を聞いて、自分で経験して勉強していけば、

3年もすれば分からないことはほぼなくなります!

まとめ:栽培暦、防除暦を鵜呑みにするのは危険!

いかがでしたか?

今回は

「JAの栽培暦、防除暦は鵜呑みにしないこと!」

というテーマでした。

ちなみに僕は、今はナス栽培の防除暦、栽培暦は一切見ていません。

見なくても実際の経験や感覚で自分のハウスのクセが分かりますし、

過去の栽培や防除の日記をつけているので、悩んだとしても振り返ることができます。

今回の記事は、JA批判の記事みたいになっちゃいましたが、

僕はJAの栽培や防除を全否定しているつもりはありません。

そして、栽培暦や防除暦は無駄!と言っているわけではありません。

暦を参考に栽培や防除をされている農家さんもいるので、

提案の一つとして、毎年必ず作成すべきとは思います。

日々肥料や農薬は新しいものが発売されますし、栽培方法や常識も年々進歩しています。

JAの指導を待っているのではなく、良さそうなものはどんどん試していきましょう!

逆に営農指導員に指導するくらいの知識と経験を持てば、

気候や災害、時代の流れにも柔軟に対応できる農家になれます!

(僕がすでにできているとは言っていない…)

みんなで利益を出し続けて、農業を盛り上げていけたら嬉しいです!

最後まで読んでいただきありがとうございました。