農家になる時には、必ず立てなければならない「就農計画」。
数ある就農本の中で、この一冊は読んでおいた方がいいという本がこちら。
ということで今回は、
有坪民雄さんの著書「農業に転職!就農は経営計画で9割決まる」から、これから就農者になる方に参考になるポイントを農家の僕ナス男が紹介します!
就農される方、農業に興味のある方はぜひ読んでください!
農業に転職!就農は経営計画で9割決まる
有坪さんの著書の有坪さんは経営コンサルタントを経て就農し専業農家をされています。
まさに、農業経営コンサルのプロフェッショナル!
この本は
「農業楽しい!農家おススメ!」
といったキラキラ系の本ではありません。
むしろ逆。
農業の厳しさや現実的な数字、再現可能な就農者の経験談が書かれています。
一言で言えば、「地に足ついた現実的な就農本」。
就農を目指す方は、読んでおいて全く損はない本です。
この記事では全ての内容を書くことが出来ませんので、記事を読んで興味が湧きましたらぜひ買ってみてください!
就農計画で9割決まる!
なぜ就農は経営計画で9割決まるのか。
その理由を筆者の有坪さんは、
「就農計画を見れば、その人がどの程度マジメに農業経営について考えているか分かるから」
だと主張しています。
具体的な例を挙げて見ていきます。
- イチゴをハウス3つ建てて栽培したい!
- 最初は一人で始めるつもり!
(本書では詳細なケースで書かれていますが、この記事では簡略化しています。)
このケースのイチゴでの就農希望者の会話を聞いて、就農支援機関(農政課やJA担当者)はどのような印象を持つと思いますか?
このケースでは、ほとんどの就農支援機関の担当者は、
「この人は怪しい…これではダメかも…」
という印象になってしまいます。
その理由を詳しく考えてみましょう。
①ハウス3つ…ではダメ!
ハウス3つという表現では具体的ではありません。
なぜなら、正しい規模を表していないからです。
ビニールハウスは100㎡程度の小さいものから、2000㎡を超えるような大きなハウスまであります。
重要なのはハウスの数ではなく、栽培面積です。
ハウス3つではなく、具体的な栽培面積(例えば2000㎡とか)と答えなければ、具体的な計画は立てられません。
②最初は一人で…はダメ!
「最初は一人で…」というのも、このケースではダメです。
なぜなら、労働時間が非現実的だからです。
1000㎡でイチゴを栽培しようとすれば、(地域や栽培方法にもよりますが)だいたい延べ2000時間くらいの労働時間を必要とします。
サラリーマンの労働時間で見れば、「週休二日の定時上がり、残業あまりなし」
くらいの労働条件ですので、難しくはないです。
そして、得られる利益は地域や品種によって差はありますが、200万円前後でしょう。
しかし、400万円前後を稼ぐのであれば、2000㎡をこなすことになり、労働時間は延べ4000時間前後に膨れ上がります。
4000時間労働…とても一人では、いや人間では耐えられるレベルではありません…
このケースは、最初は一人で…ではなく、最初から2人の労働力が必要なケースです。
いい就農計画
以上のダメな就農計画のパターンをふまえて、いい就農計画を立てるとすると、
- 2000㎡のハウスでイチゴを栽培して、
- パートナーと2人で栽培したい
となるでしょう。
ここまで具体的なら、担当者の方もアドバイスがしやすいです。
- 栽培面積が分かれば、地域の過去の実績や一般的な平均を参考にして、目指すべき収量や売上目標が分かります。
- 収量や売上目標が分かれば、必要な経費や雇用人数、延べ労働時間が分かります。
- 最後にどのくらい利益が残るのかが分かり、自分の求める利益との擦り合わせや計画の修正が出来ます。
具体的な就農計画ができれば、あとはそれに向かって努力しやすいはずです。
就農計画作成の注意点:新しい実績を引用して数字を決める
ここからは、僕が注意すべきことを補足していきます。
具体的な数字を計画に組み込むには過去のデータが必要ですが、この実績が古いと現在の栽培には当てはまらないことがあります。
- 栽培方法
- 目指すべき反収
- ハウスの価格
実績が10年前とかになると、どの作物でも現在とは全てにおいてかなり違います!!
これではいい就農計画を立てることはできません。
なので、なるべく新しい実績(できれば過去2,3年前まで)を参考にすべきです。
そしてその新しい実績は、ウェブ検索するだけでは手に入らないことも多いです。
- JA
- 農政課
- 作物を栽培している農家さん
などが持っていますので、教えてもらって参考にして数字を入れましょう。
就農計画なんか無意味!?
と思われるかもしれません。
たしかに就農計画は100%の成功を保証するものではないですし、途中で作物転換するなど、計画を変更しないといけないかもしれません。
じゃあ就農計画が無意味かというと、全くそんなことはありません!
なぜなら、就農計画を作った経験が、作物や経営を転換する時に活きてくるからです。
作物転換の計画だって、考えることは就農計画とほぼほぼ一緒です!
計画の段階で利益が出ない作物転換は、必ず失敗します。
就農計画通りにいかないにしても、しっかりとした就農計画を立てることは重要なんです。
まとめ
今回は
「農業に転職!就農は経営計画で9割決まる!」
を紹介しました。
本の内容を一部だけ簡単に紹介しただけなので、より詳しく知りたい方はぜひ手に取って読んでみてください!
話が少し逸れますが、本格的に就農される前に、農業簿記の勉強をしておくことをおススメします。
簿記の知識があれば、就農計画もスムーズに立てられますし、確定申告や経営を転換する時にも大きく役に立つと思います!
僕は経営や数字などを扱ってこなかったので、就農計画や確定申告では苦労しました…
農業簿記に関しての詳しい記事はこちらから。
いい就農計画を立てて、成功する農業の第一歩を踏み出しましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました。