お金、それは農業とは切っても切り離せないもの。
特に就農~数年は栽培や農業経営がうまく回らずにお金で苦労することが多いようです。
ということで今回は、
「就農~数年のお金不足を補う工夫6選」
というテーマで、農家の僕ナス男が紹介します。
これから就農するや、農業に興味のある方はぜひ読んでください!
資金に余裕のある状態で就農できる方は少ない
農業を始めるJPの、新規就農者の就農実態に関する調査結果では、
多くの新規就農者は、自己資金で農業の費用全てを補えるほどの自己資金があるわけではありません。
下の表は、その調査結果から就農1年目の費用と自己資金の平均を抜粋させていただいたものです。
費用合計 | 自己資金 | 差額 |
755 | 281 | -474 |
「研修も終わって、いよいよ就農だ!」
「これから自分で新しい作物にチャレンジするぞ!」
という状況でも、やっぱりお金がないと何もできませんし不自由です。
それでは、農家の先輩方はどうやって就農~数年の金欠を乗り切ってきたのか?
Twitterで質問したところ、多くの意見をいただきました!
今回はこのツイートの反応や僕の経験などから、金欠を乗り切るための工夫を紹介します。
①とにかく就農のために貯金しておく
一つ目はやはり、とにかく就農のために貯金しておくことです。
当たり前すぎるかもしれませんが、就農する時の資本金は多ければ多いほどいいです。
「就農の準備金として、1000万円は貯めておこう!」
とよく言われますが、間違っていません。
作物によってどのくらい資本金が必要かは異なりますが、これくらいあればどっしりと農業に腰を据えて取り組めます。
1,2年目に失敗して赤字になったとしても、お金に余裕があれば脱落せずに済みますからね。
とはいえ先の述べた通り、1000万も貯蓄があるという新規就農者もなかなかいません。
次から貯金以外の工夫を紹介していきます。
②もらえる補助金はもらう
代表的な就農資金の対策としては、やはり補助金をもらうことでしょう。
特に農業次世代人材投資資金の補助金額の上限は、1000万という破格の規模です。
当然条件は厳しいですが、もしこれだけもらえるのであれば農業経営の負担はだいぶ減ります。
まずは補助金の対象になっているかどうかをチェックしてみてください。
就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金):農林水産省 (maff.go.jp)
「すぐ辞めるかもしれない新規就農者に補助金がいるの?」
「1000万ももらえるなんて不公平だ!」
など賛否両論ありますが、もらえる補助金はありがたくもらいましょう。
辞めずにしっかり農業を継続して、農業でその地域に貢献して、納税という形で貢献すればいいのです。
③1年目の営農コストや雑費までを含めて融資を申請する
3つ目として、融資を受ける時に1年目の営農コストや雑費までを含めて融資を申請するという工夫もあります。
トラクターやビニールハウスなど、何百万何千万の大きな機械設備だけに目が行きがちですが、
- 種苗費や肥料費、農薬費
- コンテナや収穫ハサミ、ホースなどの農具
- 本などの事務教育費
- 作業着や、その他の細々した雑費
など、これらもまとめて申請に出しましょう。
意外に見落とされがちですが、これらも意外とお金がかかるんですよね…
「あれ、思ったよりお金が残らない!」
と感じるのは、こういった細々としたものが計画に入ってない場合があります。
融資額はその分大きくなりますが、そんなことは問題ではないです。
借金が大きくなるのがダメではなくて、キャッシュが回らなくなったらゲームオーバーなのです。
融資を借りて乗り切るのは、
余裕がある額を借りてお金に余裕があれば、その分農業に専念できます。
「時は金なり」と言いますが、特に就農~数年は農業にいかに労働と思考を割くかがポイントです。
④借りられる農機やハウスは借りる
4つ目として、特にお金のかかる借りられる農機やハウスは借りる方がいいと思います。
農業を頑張っている姿を見てくれていれば、ちょっとした農機なら地主が貸してくれたり研修先が貸してくれたりします。
ただ、経営の肝になる部分は買ってもいいでしょう。
- 露地野菜のトラクターや動噴など、頻繁に使う農機の場合
- 台風などの災害に耐えられるハウスが借りられない場合
ハウスはまだしも、特に経営の肝になる農機は、最初は借りてスタートしても借りっぱなしではダメ。
この先何回も何年も使うのであれば買っても元が取りやすくなるはずですし、お金が回るようになれば徐々に買い足していきましょう。
⑤節制した生活を送る
5つ目は、節制した生活を送ることです。
相場で予想以上に儲かった年でも、生活レベルは上げてはいけません。
なぜならそれは、自分の実力ではないから。
そこで勘違いして贅沢な生活を送ると、いい相場や気候は続かないので、次の年に痛い目に会うことが多いです。
僕はナスのハウスを建てて独立する時は、実家に留まるのはもちろんのこと、マイカーも手放して生活費を抑えてました。
飲み会は年に〇回と決めて、それ以上誘われても泣く泣く断っていました。
親元就農の僕でも、ここまでしてもお金がなくなる不安は消えませんでした。
「高級車を乗り回して農業が儲かることをアピールしたい!」
という野望も大いに結構!
否定もしませんし、ぜひ達成してほしいです!
ですが、まずは就農~数年を確実に生き延びることを考えた方がいいです。
⑥研修先などで農業のアルバイトをする
6つめは、余裕がある日に研修先などで農業のアルバイトをすることです。
僕もやっていましたが、自分の農業を第一にしながらも、余裕がある日は他の農家の所にアルバイトに行くのは個人的にはアリだと思います。
研修で栽培のことを習っていたとしても、自分で独立して就農すると勝手が全く違うので、分からないことや不安なことも多く発生します。
そんな時に、ちゃんとお金が発生する農業のアルバイトはメリットがあります。
- 栽培の知識の幅が広がる
- 農雇用などの学びがある
- 何よりお金がもらえる
たとえ自分とは違う作物だとしても共通の作業はありますし、考え方などは参考になるはずです。
(施設栽培と酪農など、農業でも大きく違う分野だと自分が吸収できないかもしれませんが)
あくまでも就農~数年を乗り切るための我慢だと捉えれば、給料という形で現金をすぐに得られるのは生活面では助かるはずです。
おススメしないこと
就農~数年のお金は工面できますが、おすすめできないものもありますので合わせて紹介します。
①夜にアルバイトをする
日中に農業をして夜に農業とは別のアルバイトをするという選択は、若くて体に無理がきくから出来てしまうかもしれませんが…
農業と両立ができてメリットが大きいかと言われれば疑問です。
僕も実際に農業をしながら夜に近くのスーパーで働いていて、月数万円の給与をもらっていたこともありましたが…
体もきつくて朝早起きもできず、本末転倒になってました。
農業で使う体力気力を確保しつつお金を得るには、夜にアルバイトをするのはおススメしません。
②その他の副業を始める
就農~数年のお金の工面のために、農業と並行して一から副業を始める農業とは別のビジネスを持つことはおススメしません。
理由は以下が挙げられます。
半農半Xという生活スタイルもあり、自分にスキルがあってすぐに収入が発生するのであればいいと思います。
しかしまずは、農業を軸にできるように時間を割くべきだと僕は考えます。
お前だってブログをしているだろ!とツッコみされそうですが、僕がブログをしているのは収入を得るというよりは考えをまとめたり文章力をつけるという意味合いが強いです。
農家はブログをやらないと損をする!農業ブログのメリット5つ! | 就農成り上がりブログ (otikoborenouka.com)
まとめ
今回は、
「就農~数年のお金不足を補う工夫6選」
というテーマで解説しました。
ツイートのリプライを見ていると、僕が個人的におススメしないことでも、忍耐強く割り切って選択している農家の先輩方もいるようです。
そのリプライから読み取れることは、数年で農業から脱落しないためにはお金ももちろん大事ですが、
何としても農業を続けていくという執念が特に大事なんだと感じます。
とにかく、数年間耐えて続けること。
計画通りにうまくいかないことは多いですが、見えてくるものはあります。
- 産地情勢
- 自分に向いている作物
- 農地に合った栽培の工夫
現場に身を置くことで、肌で感じることがあるはずです。
今回全ての意見を紹介しきれませんでしたが、農家の先輩方の貴重な生の意見は全て参考になるはずです。
ぜひチェックしてみてください!
そして僕のこともフォローしてくれたら喜びます!
ナス男@落ちこぼれ農家(@nasuo_nouka)さん / Twitter
最後まで読んでいただきありがとうございました。