「農業を始めるために研修をしていましたが、やっぱり辞めた方がいいのかな?」
「やっぱり今の時代から農家になっても、生活できないの?」
このような意見はSNSで見かけますし、正直に知りたいことなのかと思います。
ということで今回は、
「今の時代に農業を始めるのは厳しいのか!?就農するのにベストなタイミングはいつ?」
というテーマで、農家の私ナス男が一意見として述べます。
農業に興味のある方やこれから農業を始めようとしている方は、ぜひ読んでください!
早速結論ですが、
実際に現場にいて農業のブログを書いている立場としてはこんなこと言いたくないのですが……
親元就農新規就農に関わらず、今就農するのはぶっちゃけ……
めっちゃ厳しいです!!!
厳しい農業情勢
令和4年現在、農業を取り巻く情勢は悪化の一途をたどっています。
- コロナショックから外食需要が回復し切っておらず
- 原油や肥料など、全ての経費が値上がりして
- それなのに農作物の価格には反映されない
持続化給付金や肥料の価格高騰補助金は出てはいますが、キズを塞げるわけではないので、根本的な解決には至っていません。
この厳しい情勢の中で、ほとんどの農家がどう凌ぐかを苦慮しているのが現状で、利益を伸ばしている農家はほぼいないでしょう。
正直私も今、生き残れるか微妙で、めっちゃ苦しいです!
上がり続ける経費
- 重油、ガソリン、灯油
- 肥料費
- 雇用人件費
- 農機や施設
などなど、あらゆる経費の値上がりが加速しているのも、利益が減少している要因です。
重油も1ℓ100円間近になり、冬の暖房代をケチりたくもなりますが、最低温度は作物に大きく影響するので簡単には落とせません。
多くの化成肥料は1.5培~2倍に値上がり、肥料の値上がりだけで何十万何百万円とマイナスを被る農家もいます。
最低自給も年々上がってきているので、雇用にもより工夫が必要になっています。
これらの値上がりを鑑みて、私は新たに運転資金を300万円ほど借りました。
借金額は増えましたが、現金が回らなくなったらゲームオーバーなので、通帳と気持ちに少しは余裕ができた気がします。
就農~数年のお金不足を補う工夫6選 | 就農生き残りブログ (otikoborenouka.com)
高齢農家だけでなく、若い農家も、農業を辞めている
高齢の農家だけではなく、若い後継者がいるような有力な農家も次々と農業を辞めていってます。
私の近所の農家も、農地も地域の平均以上に持っていて、農機も一通り揃っていて、若い後継者もいる有力農家ですが、
今年離農しました。
その方に離農した理由を聞くと、
- トラクターなどの古い機械が故障しがちだけど、買い換えられる資金がない
- キャベツなどの野菜の安値が続いて、経営が苦しい
- 農業を辞めて別の仕事を探すなら、若い方がいい
とのことでした。
納得の理由ですし、彼の判断は的確かつ勇気がある判断だと率直に思いました。
仕事なんていくらでもある中で、儲けが出にくい農業をあえて選択する必要はないなと改めて感じました。
農業研修者の就農断念したというツイート
農業の研修をしているが新規就農を断念した、というツイートが先日多くの反響を呼んでいました。
許可をいただいたので内容を要約しますと、
- 不景気や戦争などの情勢が悪化したこと
- 上がり続ける資材費と停滞し続ける野菜の価格
- 数千万円という借入予定や妻や子どもの存在
などを熟考した上での決断ということで、素晴らしい決断だと率直に感じました。
就農に懸けてきた時間や資金や周囲の期待と、厳しい数字や現実を天秤にかければ、簡単に諦めきれるものではないはず。
それでも冷静になって計画や見積もりが立てられるからこそ、就農を断念するという判断ができたのだと思います。
私は約10年前、サラリーマンに嫌気がさして農業に逃げてきたというネガティブな理由で就農したので、
ここまで生き残っているのは、運が良かったのが大きいでしょうね。
そもそも農業よりリスクが低くて稼げる仕事はたくさんある!
ご想像の通り、農業はとにかく外的要因に売上が左右されて、リスクも高い産業です。
- サラリーマンなら、毎月安定した給与が手に入りますし、
- ユーチューバーなら、パソコン1台で始められますし、
- 起業するとしても、他の産業の方が利益が上げられやすいし、
農業よりリスクが低くてより多くの給与がもらえる仕事なんてたくさんあるんですよね。
詳しくはこちらの記事で。
そしてもし農業を辞める決断をしたとき、農機やビニールハウスなどの設備は負の遺産になる可能性もあります。
農業するには農機や設備が必須ですし、決算上は資産科目に載りますが、農業でしか使えない資産をたくさん抱えるのはリスクもありますね!
「絶対に農業がしたい!」という強いモチベーションがなければ、ただの苦行になりかねませんからね。
いつが就農のタイミングなのか
「今は色々と厳しいから農業はやめとけ!」
という意見が多数なはずですし、私も今の状況では就農は積極的には勧められません。
このブログで言われるまでもなく、就農希望の方は様々な所で言われているでしょう。
「じゃあ、いつ就農するのがベストなの?」
この質問に明確に答えられる方はいるでしょうか?
- 世界情勢が好転するのはいつなのか
- 無借金で農業が始められるくらい資金が貯まるのはいつなのか
- 農業経費の値上がりが落ち着くのはいつなのか
- 野菜がいい価格で売れて経営に余裕が出来るのはいつなのか
就農のベストなタイミング、それは誰にも分からないと思います。
いや、最後に決めるのは自分しかいない、ということだけは分かり切っています。
就農のベストだとするタイミングを待っていたら、年を取り、農業へ向かう気力や体力が落ちてしまうかもしれません。
人生はマジで一度きりなので、「厳しいのは重々承知だけど、どうしても就農したい!」と思ったときにやれなかったら後悔するかもしれません。
そして現役農家がどんどん離農する時代でも、就農は100%無理!ということはありません。
努力し続けられて栽培技術がある方や、消費者の求める農産物を提供し続けられる方は成功できるでしょう。
就農ではなく規模拡大の話になりますが……
私は今年新しいハウスを建てて、ナスの栽培面積を増やしました。
ウクライナ情勢が悪化する前に契約したのでなんとか資材の値上がり幅を少なくできました。
もし新設ハウスの契約がウクライナ情勢悪化の後だったら……私は新設ハウスを諦めていたかもしれません!
なぜ農業の情勢が厳しい今、ビニールハウスを新しく建てるのか? | 就農生き残りブログ (otikoborenouka.com)
まとめ
今回は、
「令和に農業を始めるのは厳しいのか?就農するのにベストなタイミングはいつ?」
というテーマで書きました。
*最後に断っておきますが、弱小農家の一意見ですので、鵜呑みにせずに色々な方に意見を取り入れて判断してください!
偉そうにこの記事を書いていますが、私も来年生き残っていられるかという瀬戸際の農家です。
もし農業経営がダメになって離農したら……このブログを消して一人旅に出ます!探さないでください!!!
そんな弱小農家の私が恐れ多くも就農希望者の方にアドバイスするとしたら。
より厳しい数字で就農計画を立てて、資金を貯めて節制した生活をしたほうがいいよ、ということでしょうか。
僕が農業で生き残り続けられた理由 | 就農生き残りブログ (otikoborenouka.com)
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです!
最後まで読んでいただきありがとうございました。