「もうサラリーマンは嫌だ!気が楽そうな農家がいい!」
「自然と触れ合う仕事はストレスが溜まらなそう!」
どういう経緯であれ農業に興味を持ったり、就農しようとしてくれる方がいることはいいことだと思います。
しかし、上記のような農業がメンタルが楽そうという理由で就農しようとしているのであれば、僕はおススメしません!
ということで今回は、
「農業はストレスが少ない?いいえ、農家はメンタル病みやすいです。」
というテーマで、サラリーマンから逃げて農家になった僕ナス男が自戒を込めて解説します!
- 金銭面
- 労働面
- その他
3つの面から、それぞれストレスがかかるケースを紹介します。
これから就農しようとしている方や、農業に興味がある方はぜひ読んでください!
1,金銭面のストレス
収入の不安定さ
農業で何といっても無視できないのが、収入の不安定さです。
会社に雇われていれば毎月安定した収入をもらえますが、就農=個人事業主なので、毎月の安定した収入は保証されません。
一生懸命何時間働いたとしても結果が全ての世界なので、自分では頑張ったと思っていても病害虫や台風などで売上が吹っ飛ぶことは十分考えられます。
今年僕はナスの灰色カビ病を大量発生させてしまい、三ケタ万円に届くかというくらいの売上を吹っ飛ばしました…
なかなか灰色カビが治まらなくて、灰色カビの対処をしないといけないのにやる気が起きず、ハウスに行くのも辛かったです。
病院で診断を受けていれば、うつ病と診断されていたかもしれません。
さらに相場の価格変動や台風などの災害リスクも農家は被るので、安定とは遠い職業と言えます。
僕がキャベツを栽培していた時、何度か価格暴落して収穫せずにそのままキャベツを潰さなくてはならなかった年、その年は胃がずっとキリキリしていました…
農家になって、辛かったこと悲しかったこと5つ! | 就農成り上がりブログ (otikoborenouka.com)
売上目標やお金の価値観は人それぞれなので、ストレスのレベルもそれぞれ違うでしょうが、生活のために農業を仕事とする以上は金銭面のストレスはゼロにはならないことは当たり前ですが頭に入れておくべきです。
重い機械設備投資
機械設備投資もプレッシャーとして重くのしかかってきます。
親元就農で農地や農機がある方や、自己資金で何千万と用意できる方は余裕もありそうですが、そうでない新規就農の方は融資を受けることになるでしょう。
作物や体系によって必要な初期コストは違いますが、時には家が建つ価格の融資を受けることもざらにあります。
僕は2回ほど、家が建つレベルの融資を受けて借金をしましたが、契約をしてしばらくは怖さから吐き気が止まりませんでした。
特に近年は農業資材全般の価格が高騰しているので、より金銭面のストレスは重くのしかかってきます。
経費や機械設備を古いデータから拾って計算している方は、もう一度最新の価格を調べて就農計画を見直すことをおススメします。
2,労働面のストレス
体が疲れるとメンタルも病みやすい
農作業はほぼ例外なく、肉体労働が大半です。
健全な精神は健全な肉体に宿るという言葉があるように、体が疲れていれば精神にも影響が出るのは皆さんも経験があるかと思います。
「畑仕事の方が疲れるけど、座ったままのデスクワークよりは健康的じゃない?」
と思われるかもしれませんが、毎日の畑仕事は農業を仕事にすると想像以上にハードです。(作業によって強弱はありますが)
ナス栽培を例に挙げると、樹の下の方の手入れはしゃがまないとできないので、ナスの手入れはスクワットをしているのとほぼ同義です。
一列手入れするのに100回はスクワットをしています(笑)
これがうちのハウスの場合21列あるので…足腰は毎日くたくたになります。
肉体疲労が激しい時は、金銭面のストレスと相まって、
「これだけ疲れたのに、これしか稼げないの?」
と、心が折れそうになることもしばしばあります。
休日が不定期
休日が不定期なことも、肉体的にも精神的にもストレスがかかります。
農業は天候にも作物の生長にも左右されますし、繁忙期には1か月休めないなんてこともざらにあります。
さらに個人事業主なら農業の事を考えない日はないので、頭が休まることはありません。
休めない→疲れが取れない→精神が疲れる
という悪循環が起きやすいです。
自分の判断で休みを取れることはメリットでもありますが…農業経営が軌道に乗るまではなかなか最初のうちは休みにくいでしょう。
3,その他のストレス
自由というストレス
農業は自由度がとにかく高い仕事です。
何をいつどのように育てて、どこに出荷するかまで全て自由!
その反面、自分で考えて行動しその責任は全て自分が取ることになります。
例えば栽培面。畑にしてもハウスにしてもそれぞれ農地のクセがあるので、研修内容がそのまま使える状況はほぼないんですよね。
研修して得た栽培技術だけでなく、+α自分で考えて応用力がないと収穫すらままならないなんてこともあり得ます。
典型的な指示待ち人間だった僕もここで苦労しました。
ある程度のマニュアルがあってもいいじゃないかと、サラリーマン時代は嘆いていましたが…
そのサラリーマン時代がかわいく思えるほどの自己判断の連続で、ナス栽培を始めた当初は失敗もたくさんしましたし、売上もかなり吹っ飛ばしました。
個人事業主なので、自己責任=収入に直結することは当たり前ですが、向き不向きがはっきり分かれるということは改めて知っておくべきです。
人間関係のストレス
意外に見過ごされがちなのは、人間関係のストレスです。
接客業ではないのでたくさんの人と接することはないですが、切っても切れない農業特有の人間関係もあり、苦手な方にとっては悩みの種になります。
- 生産部会の中での人間関係
- 取引先との人間関係
- 一緒に働く中での人間関係
- 地主や地域の人との人間関係
このあたりの人付き合いがうまくいかずに、離農する方も少なくありません。
人間関係を全くのゼロにはできないので、うまくマネジメントをしていくしかないですね。
まとめ:実はメンタルを病んで離農する農家も多い
今回は
「農業はストレスが少ない?いいえ、農業はメンタルが病みやすい仕事です。」
というテーマで書きました。
「サラリーマンはストレスだらけで精神的にきつく、ストレスが少なそうだから農業に興味を持った」
という、脱サラ就農希望の男性も僕のナス栽培の求人にも来たことがありますが…
仕事として農業はストレスが多いのでやめた方がいいです、とお断りしたことがあります。
「農業は厳しいからやめとけ!」というつもりでは決してなくて、一度留まって考えるきっかけにしてほしいと思っています。
農家の方に僕と同じような回答をされたという方もいるかと思いますが、何度も自問自答してほしいから厳しく言ってくれていると捉えてほしいです。
お金を稼ぐ以上、楽な仕事はありませんね。
以上、参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。